浮気の定理-Answer-
「あ~……っと、もしかして……

清水さん、僕のこといくつくらいだと思ってます?」


「えっ?あの……25歳くらいかなって……思ったんですけど……」


「……」


――25歳って……年下だと思われたってことか……


あからさまにガックリと肩を落とすと、彼女が慌てたように謝ってきた。


「え、あの?ごめんなさい!……違いました?」


あんまり申し訳なさそうに言うもんだから、思わず苦笑しながら答える。


「……なんか若く見られがちなんですけど、僕これでももうすぐ30歳なんですよ」


彼女は面白いほどうろたえながら、それでもまだ僕の顔を穴が開くほど見つめてくる。


ようやく目をパチパチと瞬いて、口にした言葉は、僕の想像をはるかに越えてて……


「あ……すみませんでした

年上の方に向かって失礼なことを……

あんまり肌とかきれいだったから……つい」


「肌……ですか?」


若く見えるだけならまだしも、肌が綺麗?


それは誉め言葉として受け取っていいんだろうか?


「はい……私なんか年下なのに、副店長に比べたらひどいもんです」

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