舞桜
貴方が、少しでも恥をかかないようにと、美麗に装束を仕立てて上げているのは、この私なのに。

あの人、この間、綺麗な女装束、一式仕立てさせていたけれど、どうせ、私にはくれないのね。愛人に、あげるのでしょう?

それでは何だか虚しいので、女房にこっそり、袿と単を一枚ずつ掠め取らせたわ。

嗚呼。
私って、何なのだろう。

落窪物語の落窪の君もどきたる、私、よね。まったく。

考えすぎたのかしらね。
気分が悪う御座いますな。
白湯でも頂きましょうか。
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