たった一つの勘違いなら。

「俺は2人で家にいるだけでも全然いいんだけどね」

「私もそれでもいいんですけど。隠してコソコソしてるっていうのがなんとなく」

「真面目だからな、詩織は。旅行とグラス割る以外でストレス解消になることある?」

真吾さんの優しさに甘えて、ちょっと考えていたことを言ってみる。

「あの、ちょっとお願いしたいなって思ってることがあって。恵理花をここに呼んだりしてもいいですか?」

「いいよ、もちろん」

「じゃあ高橋くんも一緒に?」

「高橋?付き合ってるんだっけ。まあいいけど」

「次に私がなんていうかわかりますか?」

「西山と影森さん、かな」

え!なんでわかるの!

「いつにする? 正直そのメンバー面倒だけどな」

「なんでわかったんですか?」

「西山と話すチャンスを伺ってるの俺が知らないと思った?」

にこりと笑うその笑顔は、すごく優しそうででもなんだか腹黒そうにも見える今日この頃。

でもその通り。西山くんと恵理花にはあの時すごくお世話になったから、一度ちゃんとお礼をしたいと思ってたの。

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