偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「ずいぶん、見やすくなった」

タブレットを見ながら、青山が言った。
心なしか、片方の口角が上がっている(ように見えた)。

「ありがとうございます……それでは、これで」

定時を過ぎているのだ。一刻も早く、この場を立ち去りたかった。

「では、明日はこの集計を使って、パワーポイントでプレゼン資料をつくってほしい」

青山が平然と(のたま)った。

……はあぁっ⁉︎

「へぇ……すっごく見やすくできてんじゃん」

青山のタブレットを覗き込んだ、サブリーダーの石井が感心しながら言った。

「あら、ほんと……すごいわ」

青山からデータが送信された麻琴が、自身のタブレットを見てつぶやいた。機械類はあまり得意ではなかった。

「えっ……うわぁー、青山さんっ、やっぱ独り占めはずるいっす!ハケンさんには平等に仕事してもらいましょうよっ!」

麻琴のタブレットを覗き見した山口が叫んだ。


「……それでは、お先に失礼します」

稍は一礼して、MD課を出た。

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