BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
 それから、数日後。
 月穂がUAL社へ行くと、朝から夕貴に遭遇した。

「大和さーん」

 振り返ると夕貴が大きく腕を振って、大袈裟なアピールをしている。

(櫻田さんって、なんだか雰囲気が須田さんに似てるかも)

 夕貴の人懐こさは、少し羨ましい。

 月穂は自分から積極的に話しかけたりしない性格だから、乃々に対しても自分にない魅力を感じ、羨望感を持つことがある。

「櫻田さん。おはようございます」
「おはよう! この間は話を聞いてくれてありがとう」
「いえ。よければまたお待ちしてます」

 月穂が笑いかけると、夕貴は右手を顎に添えて小さく首を傾げた。

「大和さんって、なんか話しやすいんだよね。職業的な理由かな?」

 ――『職業柄なのかもしれないけど、おっとりしすぎ』

 夕貴の『職業的な理由』というワードで、不意に祥真の声が頭に浮かぶ。

 また意識が祥真に持っていかれているとハッとし、敢えて夕貴を注目して気持ちをごまかそうとする。すると、顎に添えている夕貴の指に赤い色が見えた。
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