誠の華−ユウガオ−
「俺達は靖兵隊を結成した。これから会津に向かう」
質素な食卓には不釣り合いな凛とした声が響く。
勇さんと新八さん。
二人には今、なにが見えているのだろう。
戦場から離れた私と総司には分からなかった。
「二人とも、絶対に死なないで」
「俺達は武士だ。死なんか恐れてない」
私の頼みはピシャリと斬り捨てられた。
「だが俺達はたくさんの人間に生かされた身だ。そう易々と首を差し出すことはしねえよ」
安心しろ、と新八さんは私の頭を撫でた。
本当、敵わないな。
私も大人になって彼等に近づいたと思ってたのに。
総司を見ると同じ事を考えていたのか、似たような笑みを浮かべていた。