誠の華−ユウガオ−
ごめんなさいおじいちゃん、勇さん。
あんなに大事なことを忘れていただなんて。
今日は4月24日。
お願い、間に合って!!
世田谷から板橋はどのくらい離れているのか、どうやって行くのか全くわからなかった。
なのに何故だか足が勝手に動く。
勇さんが今どこにいるのかをまるで知っているかのように。
足の皮が剥けて血が滲んだ足袋が赤黒く染まる。
途中で鼻緒が切れると下駄を手に持ち走り続けた。
何度も転び石を踏んだ。
足の裏が裂けヒリヒリする。
でも止まるわけにはいかない。