わたしはあなたにときめいてます
「ならなかったって……。
他の男に…見せた事あるのか……」

「ありますよ」

吉弘さんに。

「それも何回も。いや、何十回は見せてます」

唯一わたしが全部の自分の感情を普通に見せられる人ですから。

「絶対にその男はお前が好きだ……」

「吉弘さんには彼女が居ます」

吉弘さんはわたしをあなたが思うような女として好きじゃありません。

「その男は、彼女と別れるって言ってないか……?」


『私と…別れる気なの?』

『ないとは言えないですね』


「言ってないです」

まだはっきり“別れます”って言われてないから…。

「本当に……?
その男彼女より香澄を…」

「吉弘さんです」

「その男は…」

「“その男”じゃなくて吉弘さんです」

「別に良いだろ……」

「よくないです。吉弘さんはわたしの恩人なんです。ちゃんと名前を言って下さい」

「嫌だ……」

「なら、吉弘さんの事は言わないで下さいね。あと、わたし吉弘さんの家に行って来ますから」

「何で……!!!」

「自分の荷物を取りに行かないといけないので」

「どうして香澄の荷物があいつ…」

「“吉弘さん”と言うのが嫌なら、話さないで下さい」

「吉…弘……野郎の」

「話さないで」

「吉…弘………さんの所にあるんだよ……!!!」

「吉弘さんの家に住んでたんです」
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