婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「今度、『三叶草』でランチしよう。じゃあ、また明日」

「はい、是非。お疲れ様です」

松本さんと受付の前で別れ、手探りでバックの中をあさる。だが、スマホが見つからない。

あっ……机の上に置きっ放し。

すぐに秘書室に取りに戻るが、中に入ろうとしてサッと身を隠した。

中にいるのは玲人君と佐藤さんだけ。

小鳥遊さんと前田さんは、ちょうど席を外しているようだ。

このふたりの中に入っていくのは辛い。

玲人君と話をしたらいつも彼女に嫌な顔されるし、彼を無視して佐藤さんに話しかけるのも不自然で、いろいろ考えてしまう。

小鳥遊さんか前田さんが戻るのを待とう。

そう思っていたら、佐藤さんの切羽詰まった声が聞こえた。

「副社長が好きなんです!栗田さんがいてもいい。付き合ってくれませんか?」
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