婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
でも、そんなことを彼が気にしているなんて意外に思った。

「ビー玉みたいに綺麗なのにな。メガネしちゃうなんてもったいない」

素直な感想を口にすれば、彼はフッと微笑した。

「ビー玉……ね。そう言えば、瑠璃は昔ビー玉の中ずっと眺めてたっけ」

「だって綺麗だったんだもん」

「それに、俺を押し倒して、俺の目も覗き込んでたな」

玲人君は悪戯っぽく目を光らせる。

「あっ……」

彼の言葉に血の気が引いた。

……すっかり忘れていたけど、確かにやりました。

あれは、幼稚園の頃だっけ?

『玲人君のお目々見せて』と言って、鼻と鼻がくっつきそうなくらい彼に顔を近づけて見たんだよね。

今思うと、なんて大胆なことをしていたんだろう。

無邪気さ故の行動だね、あれは。

しかも、拒否られた時は、泣いて彼に頼んだのだ。
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