小悪魔な彼

低く、響く声でそう言った。


「決着て…どういうことだよ!?」


「ゆかりとの縁を切りに行くんです。」


「でも……ゆかりちゃんの家系は…!」


「わかってます。大丈夫。俺はもう弱くない。」


小森くんは目尻を下げて優しく笑った。


「人間は、失いたくないものが出来たとき、誰よりも強くなれるから。」


また流れた私の涙を
小森くんの指が優しく拭う。


「やっと…笑ってくれたね…」


「えっ…?」



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