花に美少年
例えばあと二歩進んだ先で、鳩に糞を落とされる未来が待っていたとしても、その未来を防ぐことも出来ないまま、私は歩くしかない。
だからある意味、この先に何が待っていても驚くことはない。だって人生は、そういう事の連続なのだから。
そして私の人生の大半もまた、厄介な出来事に溢れている。

例えば、ほら

５日間の研修を終えて、くたくたの身体で彼氏と同棲中のアパートに帰って来たら、アパートの前に、幾つもの段ボールが積まれているとか。

「な、なにコレ」

しかもその段ボールに【安達芽衣子】自分の名前が書かれているとか。

「・・・え？何？」

一分前の私も、一時間前の私も、一日前の私も、想像すらしていなかっただろう。
もちろん、今の私ですら現状を理解出来ない。
もしかしたら実家から届いた荷物なのかもしれないと思い、段ボールの蓋を開けて中を覗く。

「・・・」

絶句。どう見ても、私の荷物だ。
たぶんクローゼットにあったであろう私の洋服たち。
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