消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。







家に帰ってから、僕はメッセージを打っていた。



《前略、親愛なる友人殿へ。

僕、橘直人はようやく今日、一歩前進できたと思います。
つきましては、失恋会改め祝辞を頂きたく存じます。
詳細は明日、また改めて》



格式ばった文面を読み返して、少し考える。


再び画面に指を滑らせた。




《——追伸。
ただの知り合いではなく、僕はやっぱり彼女と友達だったみたいです》



送信して、画面の電源を落とす。


そのまま寝堕ちてしまった。



会ったら僕はまた、彼らにからかわれるんだろう。


でもまあ、それもいいかもしれない。


一緒に馬鹿騒ぎするのは嫌いじゃないんだ。



明日はどんな話をしようか。


放置されたスマホが2件の着信を知らせる。




《堅苦しいメール寄越すなwwでもま、お前にしちゃ上出来じゃね?
仕方ねえから、じっくり話聞いてやるよ》


《承知した。張り扇は封印だな、祝辞の内容を考えておく。
おめでとう、ここからだ》



僕がそのメールを見るのは、目が覚めてからだ。


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