【完】ホタル
それだけで大変な手入れも我慢できる。


彼は透けるほど真っ白な身体をしているから。
私も常に長袖で、日の光に当たらないようにしている。


少しでも同じになれるように。
服も、靴も、小物も白いものばかりになった。
少しでも、共通点を増やすために。


同じになりたいから。



「おばーちゃん、こんにちは。
 夏菜です。」



「あらあら、夏菜ちゃんいらっしゃい。
 今年も来てくれてありがとうねぇ。」



「ううん。荷物置いてきていい?」



「いつもの部屋でいいわよね。
 あっ、夏菜ちゃんの好きなアイス買ってあるわよ。」



「ありがとう。」



祖母、お母さんのお母さんであるトキおばあちゃんは。
おじいちゃんが私の幼稚園の頃に他界してからひとりきりで住んでいる。
幸いここ日和村はご近所付き合いが良く。
お年寄りが多くて話の合う人が多いから。
私たちが東京に引っ越すときもおばあちゃんはここに残る選択をした。


元はと言えば、私だってここにずっといるつもりだったんだ。
お母さんさえいなければ。


うちはお父さんとお母さんが小さい頃に離婚して。
それが理由で幼少期はここ、日和村で過ごした。


でも、日和村はド田舎で。
都会暮らしが板についたお母さんは耐えられなくなって。
私が小学校2年生の頃に都会に引っ越した。


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