【完】ホタル

「俺の妖力が導いたのか……。今日満月だしな。」



ぶつぶつとひとりごとを話す男の子とじぃっとみつめる。
そういえば、まだ名前知らない。




「名前なんて言うの?」



「……、名前なんてねえよ。」



「ないの?じゃあなんて呼べばいいんだろ。」



「好きに呼べ。」



名前……。なにがいいだろう。
見つめながら思考を巡らせる。



「ユキ。」



「ん?」



「雪みたいに真っ白で綺麗だから、ユキ。
 あなたユキね。」



「ユキ……か。いいな。」



「うん!」



満足そうに笑うユキをみてこっちまで嬉しくなる。
それが、私とユキの最初の出会い。



「また来てもいい?」



「いつでも来い。」



「約束ね。」



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