君は俺を好きにならない。
だって「俺」は君なんだもの、「君」は俺なんだもの。

こんなに不毛な恋はない。

シェイクスピアのロミオとジュリエットでさえも、ハムレットでさえも、相手がいたから成り立った悲恋を、俺の恋は悲恋にさえならない。

俺が好きになったのは俺自身といっても不思議はないのだから。


“解離性人格障害”とも呼ばれる俺は、どうやったって救われない。

きっと、俺が消えることが彼女にとっても俺の恋にとっても最善策。

まるで人魚姫のように、泡になって消えることが出来たら楽なのだろう、だけど俺の運命はそうはならない。

彼女が望まない限り成り立たない。



ねぇ、「君」。

俺の心の臓に、杭を打ち込んではくれないか。
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