初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

『いや、ごめん。嘘』

「へ?」

『クルミの家には行くけど、泊まらない。』

そう言いきった先輩。
さっきは泊まらせてって言ったのに、嘘って撤回するのが早過ぎる。
先輩が何が言いたいのかわからなくて、

「あの?」

『ごめん、今日のクルミがおかしいから調子に乗った』

「調子に、って……?」

調子に乗るって、別に彼氏なんだから彼女の家に泊まるのは別にいいんじゃないんだろうか。
27と28の男女なんだし、そういうのも込みでしょう。

『その日。俺もクルミに会いたいから、会いに行く』

先輩が何を考えてるかよくわからない。
混乱したまま「はい……」と返事をした。

『だからクルミ、イイ子で待ってて』

「へ?」

またどっかで聞いたようなセリフだけど、乙女力全開の先輩にはやっぱり似合う。

『あーこれで明日も頑張れるな、クルミさんきゅ』

「え、だって。あの?」

『また明日、電話するよ』

「はい、」

『おやすみ、クルミ』

「おやすみなさい。」


で、ええと。
クリスマスの日に会えるけど、うちには泊まらないと。

でも会いたいって言った事は喜んでくれたんだよね?
迷惑じゃなかったんなら良かったんだけど。

クリスマスまではあと二日。
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