初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
周りを見ても誰もいなくて、わざわざ先輩を遠ざける理由もないから話し続ける。

「そうですか、じゃもう少しここで待っておきます」

「……9月から部活にこなくなるんだな」

ポツリと呟くように言う先輩の言葉に急に寂しさを覚えた。
先輩にとってはこれが最後の大会だったのに。関東大会に行けないと決まった時、来年は頑張ろうってすぐに思った自分がいた。

私なりに一生懸命頑張ったつもりでいた。
でも、最後だと思ってはやってない。もっと頑張れたかもしれないのに、ってちょっとだけ後悔した。

「寂しくなります」

私のその言葉に何故か驚いた顔の先輩がいた。

「そうなんだ」

「当たり前じゃないですか、3年生居なくなったら寂しくなりますよ」

「ハ、そうだよな……」

先輩だけじゃない、みんないなくなっちゃうんだって初めてその時に気付いた。
そう、先輩は男女関係なく人気で、後輩たちからも慕われてる。だから、

「たまには息抜きに来てくださいよ、みんな喜ぶと思うし」

「みんな、ね」

「はい、なにげに先輩人気者ですから」

「何気には余計だっての」

クシャッとさせて笑うその顔は少年みたいで、かわいいけどかっこいいってもっぱらの評判。
まぁわからなくもない。でも坂下君の方がかっこいいけど。
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