初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「おいしそうなのが一杯で迷っちゃったよねー」

テーブルの上に戦利品を並べて見て、まだ買い足りないという様子のノリちゃん。
それだけ買えば十分だと思う。だいたい何人に渡すつもりでいるのか。

「ノリちゃん?それ、何人分?」

「やだなぁ、クルミ。聡に決まってるじゃない」

当たり前のように言うから、呆気に取られてそのチョコレートの山を見た。
だって、一、二、三……ざっと数えても十近くありそうだ。それ全部?

「あ、もちろんあげるけど。食べるのは私よ?」

納得。いくら木村だって、どんなに愛があったって、その量はさすがに無理というもの。それに木村が甘いものが好きだという話も聞いた事もないし。

「クルミはそれ、」

「うん、気にいってくれるといいんだけど」

「クルミがあげたら何でも喜びそうじゃん?」

それだから。気に病んでたっていうのに。

嬉しいはずなのに、心のどこかで負担に思ったりする自分が嫌。
それなのにその腕に包まれてしまえば温もりに満たされてしまうなんてまるで体だけ求めてるみたいな……
心と体は別なんてありえないと思ってたけど。どう考えても今の私は身体から流されてる。

「クルミ?」

「あ、ごめ。あんまり人が多くてちょっと疲れちゃったかな」

はは、って笑ってごまかしたけど

「クルミ、やっぱりさ。先輩とは…―」
「金曜日、ちゃんと渡してくるね」

ノリちゃんの言葉を遮ってその話を終わらせ、食事を食べ始めた。
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