初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
それからというもの、何度か先輩に連絡するもいつも留守電で。
メールの返事やLINEに反応はするものの、直接話をする事はなかった。
頭の奥の方で何か嫌な音がする。それを言葉にするならば危険を示す警告音とでもいうべきなのか。

三月は忙しいから会えないかもしれない。そんな話を前から聞いてはいた。だけど電話も出来ないほど忙しい?
不安は募り、それはいつしか不満になっていく。

そんな時にはもちろん。

「クルミっ」

「おつかれ、ノリちゃん」

持つべきものは独身の女友達。ノリちゃんを誘って飲みに来ている。
ついこの前飲み過ぎた事を後悔したばかりなのに、舌の根も乾かないうちにとはこの事。
とりあえず乾杯して近況報告。これもいつもの流れ。

「そういえば、この前のチョコ。先輩喜んでくれた?」」

「さぁ?」

正直に答えるけどノリちゃんは怪訝な顔。さぁって答えた事で渡した事は伝わったみたいだけど。

「さぁ、って渡したんだよね?」

「うん」

「じゃあ、なんで?」

情けない話、開けて欲しいって言えなかった。それどころじゃなかった酔ってて。

「チョコ興味ないみたいで、開けてもくれなかったから」

「え、」

驚くのも無理はない。今までの先輩だったらあり得ない。やっぱりそんな風にノリちゃんも思うって事は……?
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