初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「んで、紹介の続き。こっちが俺の彼女の愛羅ちゃんで、お前の隣がクルミちゃん」

「いやいや、俺さ。名字で自己紹介したろ?」

苦笑いを浮かべて巧さんを見る相良さんに「あ?だからそういうの。固いっての」と返す。

なるほど、巧さんはおおらかなようだ。でも大らか過ぎて、もし私の彼だったらちょっとついていけそうにない。
そんな二人のやり取りを見て喧嘩にはならないのはわかるけど、なんとなく雰囲気がよくない。

「あ、でも私。胡桃沢のクルミなので名字と言えば名字です。」

助け舟?になってるかな。

「へー、胡桃沢さんって言うんだ」

「はい、名字長いからって中学の頃からそう呼ばれてて。なので相良さんもクルミでいいですよ」

クルミちゃんって呼ばれる事は慣れてない。呼び捨てにされる方がよっぽど落ち着く。

「一見名前っぽいですよね、クルミって。最初私も名前だと思いましたもん」

さっきからずっと無言だった愛羅ちゃんがやっと会話に入って来た。話題が私に移ったからかちょっとほっとした様子。

「うん、良く言われる。名前の方はありふれてるから家族ぐらいしか名前で呼ばないかも」

家族というか両親だけ。妹だっていつもお姉ちゃんだし、名前をわざわざ呼ぶような事もない。
あぁそっか、愛羅ちゃんってうちの妹よりも年下なのか。そんな事をぼんやり考えていると、彼のビールが運ばれてきた。どうやらもう一度乾杯をするらしい。
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