初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「あの、ごめんなさい。嘘。や、嘘じゃないけど、あのごめんなさい。困らせるつもりじゃ…―」
『ほんと困る』

え。しっかりと聞こえた、その言葉。自分を出す事ばかりがいいとは限らない……。

「忙しいのわかってるのに、私っ。何言ってんだろ。ほんとごめんなさ…―」
『違うって。そういうんじゃなくて。マジで。』

そういうのじゃないって?

『あー、なんつうか。』

「?」

『ちょっとだけ会うとか出来ないから』

「……うん、わかってる」

わかってたはずなのに、やっぱり相良さんの前で取り繕えない。

『や、そうじゃなくて。』

「うん、忙しいのはわかってるよ?」

何度も言わなくてもわかってる。だけど、会いたくて会いたくて、一目でいいから会いたいのに。

『だからさ、会ったらちょっとだけじゃ済まなくなるって事。』

「ぇ?」

ちょっとだけじゃ済まなくなるって?

『今すぐこのまま会いに行きたいぐらいだっての』

私が思っていたのと違う意味で言われて。一気に顔に熱が集まるのを感じる。

『絶対今、クルミちゃん真っ赤だと思うんだよね?ほんとはそれ見たいのにな』

「もうっ」

会いに来て。今すぐ見に来て。

そして抱きしめて――。
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