初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「で?何が困るって?」

う、そこまだ突っ込み入れるかな。
もう忘れてくれててもいいのに。

「あー、えと……」

あれから色々と考えたけど、いい案は浮かばなかった。
ていうか、呼び名なんて改めて考えるもんでもないだろうに。

いっそ、先輩が呼んで欲しいというように頑張って呼べばいいんじゃないかなんて考え始めてる。

「ん?」

なんだろ、これ。先輩わざとじゃないの?
なんだか楽しそうな顔してるように見える、けど。

「いや、別に大したことじゃないです」

「そ、なら行こうか」

自然に寄ってきて当たり前のように私の右手を取る。

「ちょ、先輩っ、手っ……」

「ん?デートって言ったら普通。手ぐらいつなぐでしょ?」

そんな風に可愛らしく普通って言うとか。今まで私が見てた先輩は、本当に一部どころか何も知らなかったに等しい。

中学の頃にはこんな風に軽い感じじゃなかったし。
そもそも中学からこんな感じだったらすごく嫌な印象しかなかったかも。

「ほら、クルミ行くよ」

先輩はそう言ってから一層強く握った手を引き、歩き始める。
ちょっと強引だけど、本気で行くと言った先輩の気持ちがここに現れてるようで振りほどく事は出来なかった
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