【完】ファーストキス、投げ出して。
それからどれくらいの時間が経っただろう。
時間の流れに疎くなる、ここ。
静寂は眠気を誘って。
うとうとしてくる……。


集合時間とかそういうの、無視して。
もういっそのこと寝てしまおうか。


そう思って寝る体制に入ると。
ドタドタと階段の方から足音が聞こえてきた。


うそ!?
ここ、人くんの!?


情景反射で飛び起きてスカートを整える。
身だしなみを整え終えた後、現れる人にドキドキしていると。


上がった息。赤くなった目尻。紅潮した頬。
上下に動く肩。着崩れた制服に握りしめたガイドマップ。
うちの学校とは違う制服の男の子が現れた。


っていうか、なんかデジャヴなんだけどこの状況。


乱れた息を整えた男の子は落ち着いたのか。
辺りを見渡している。
ぱっと、私の方を見ると。
今度は別の意味で顔を赤らめた。


私居ることに気づいてなかったんだ……。


動揺して視線が2、3回左右に揺れる。
悩んだ結果、男の子はこっちに向かって足を進める。


えっ、こっち来るんだ……。気まずっ!


下手に動くこともできず下を向く。
ローファーに視線を向けていると、そっと影が出来た。



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