【完】それでもいいと思える恋だった。
第5話
ふたりの秘密基地。
公園の、プレハブ小屋。
あの頃は広く感じたけど。
あの時より大きくなった身体じゃ。
体育座りするだけでいっぱいいっぱいだった。


捺くん、入れるかな。
大きくなってたから難しいかな。


膝の上にリュックを乗せて捺くんが来るのを待つ。


引っ越すことを伝えたから一回も口をきいてくれなくて。
こんなの初めてで。
言わなきゃよかった。
そう思ったけど。
言わなかったら何も言わず去っていってしまわなければいけなかった。


怒ってるかな。呆れてるのかな。
もう。話してくれないのかな。
私の事、嫌いになったかな。


考えれば考えるほど気分が落ち込んでいく。
来てくれるかな、捺くん。


希美ちゃんに言伝を頼んで。
今日もひとりで通学路を歩いた。


朝、呼びに行けなかった。
引っ越すことを言った次の日、捺くんママにまだ寝てるって言われて。
避けられてることに気付いた。
何回も尋ねる勇気がなくて。
結局行けずじまい。


ひとりの登校は寂しくて。
違和感ばかりで。
歩く道のりを長く感じた。





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