この暴君、恋すると手に負えません


「......話はこのへんにして部屋に戻るぞ。桐生、お前も少しは休んでおけ」
「はい」
「虹美は俺と一緒に来るんだ」

そして暴君は私の腕を掴んで、強引に歩き出した。

「み、帝さん!?」
「いいから黙って俺についてこい」


何よ、偉そうに。


私があからさまにむっとしていると、暴君は急に立ち止まり私に耳打ちをした。


その言葉に私は体中が熱くなるのを感じた。


「おやすみなさいませ、帝様」


深々と頭を下げる桐生さんの姿が見えるが、今の私には何も耳に入らなかった。

何故ならば暴君は私にこう言ったからだ。


"お前は寝かせない"と。



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