この暴君、恋すると手に負えません


またこのままキスをされてしまうと思い、私は目をぎゅっと瞑った。


「......自分から欲しがるなんて素直じゃねぇか」


その様子を見た暴君は、また身勝手な解釈をしている。私は全否定しようと声を出そうとした瞬間、暴君の唇と重なってしまった。

そして暴君の口づけは一度では終わらず、回数を重ねる度に次第に深く甘い口づけになっていく。


ーー本当にこのままとろけておかしくなりそう。


気づいたら私はその甘い口づけに酔いしれ、自らも暴君の唇を求めていた。暴君の首に腕を絡めて、暴君がリードしていたキスも自然と私が追い求めるようなキスに変わっていった。

そしてその甘い時間を遮るように、エレベーターが最上階に到達し扉が開いた。

「虹美、今日は寝かせねぇから覚悟しとけ」
「......なっ、何言って!?」

すると暴君はちゅっと触れるだけのキスを交わし、意地悪な笑みを浮かべる。


「ほら、行くぞ?」


当然、私には拒否権なんてない。
私は何も答えずに繋がれた手に力を込めて、二人だけの甘い空間へと誘われたのだった。


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