この暴君、恋すると手に負えません



その後、暴君は私との契約を一週間後に伸ばした。おばあちゃんと二人で住むには広すぎる家は静まり返っていて、荷物を整理し始めるまで心の準備に三日は掛かってしまった。

だけどおばあちゃんの部屋に入る勇気はまだない。

荷物を段ボールにまとめて宅配業者に手渡すと、鍵をかけると懐かしむように家全体を見上げた。


「.....もう少し落ち着いたら、おばあちゃんの部屋も片付けなきゃね」


そして名残惜しみながらも背中を向けてキャリーバッグを片手に歩き出す。駅に向かう途中、見覚えのある黒いレクサスが通り過ぎたかと思えば急にハザードを立てて止まった。

そして運転席の扉が開き、中からあの美しき暴君が現れた。



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