七色セツナ。1



更に
その父親、ユヅルはイイ男だった。


男も女も、その色香に誰もが目を向ける。


経営している店、ライヴハウス&bar〈blue〉には、
ユヅル目当ての客が溢れかえった。


ユヅルの一人娘である
真季乃を可愛がってくれる男が
殆どだったが、
中には真季乃を疎ましく思う輩もいた。


小3の時に
自分の父親に向けられた愛憎を目の当たりにし
それ以降、真季乃は男を
「汚いもの」として認識してしまった。


店の手伝いをしているため、
バス1本で通える
この学校を受験したのだが。


桜蘭高校は、一昨年まで男子校だった。


共学になったとはいえ、男女の比率が極端すぎると
気付いたのは
その受験の日だった。


合格発表も嬉しくなかった。


入学式のその日に、退学しようかと思った。


だが、そんな考えは吹き飛んだ。


彼女によって



< 11 / 318 >

この作品をシェア

pagetop