七色セツナ。1




「いや、あそこの幹部以上に学生はいねェはずだ」


恭弥がスマホを見ながら答える。


「夜天使(やてんし)と烈火は、仲悪いんだよな?朱羽」


虎太朗が心配そうに聞いてきた。


「ああ……」


「思ってたんだけどよ。

倉沢って、
恵衣(ケイ)さんの弟なんだろ?

入んねーのかよ?」


花凛の机に座って
恭弥に、ひっぱたかれていた吉田に聞かれた。


「ああ」


「勿体ねーよな?

兄貴がいるのによ?」


嫌なんだよ。


兄貴と比べられるのが。


兄貴がいるからって言われるのが。


兄貴を……


越えられないのを、思い知らされるのが。


そんな思いを声に出すことは、
この先もないと思っていた。



・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
< 90 / 318 >

この作品をシェア

pagetop