大切なものを選ぶこと


─芹沢蓮side─






「おっ、と……」





物思いに耽っていれば、いつの間にか煙草の灰が落ちていた。




私としたことが。








記憶から色褪せることなどないが…もう22年か。





私もいつの間にやら、歳を取ったな。




一年、また一年…と。




今年もまた8月31日がやってくる。










年に一度、この時期だけは願っても許されるだろう。









「会いてぇな...、父さん」






決して、叶うことのない願いを。








会いたくて、会いたくて仕方ない。




何年経とうが色褪せることなんてなくて、泣きたくなるくらいに、会いたい。








なぁ父さん、




私は...




俺は、30歳を超えていいおっさんになった今でも





自分の誕生日が、8月31日が大嫌いだよ。








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