大切なものを選ぶこと



──「引っ越した後、家具とか一式全部買ってくれたり…」




そう、あろうことか秋庭さんは私の為に必要な家具を全部買ってくれた。




何度言っても私には1円も払わせてくれなかったのだ。






「え、彼氏さんってお金持ちなの!?」





「お金持ちってわけじゃないと思うけど…」






いや、多分…秋庭さんはお金持ちなんだと思う。




身につけている物はシンプルだけど有名ブランドのものだし、腕時計は誰でも知ってるスイスの某ブランドの物だった。




でも決して贅沢するわけではなく、庶民的な食べ物とかお店を好んでる。






「彼氏さん何歳だっけ?」





「今年で26歳になるって」






私の言葉に三人は『玉の輿じゃん!』と盛り上がっている。





だから…そういう問題じゃなくて…





本当に贅沢な悩みだっていうのは分かってるけど…秋庭さんは私に甘すぎる。








───秋庭さんの仕事の関係と私の大学の都合で、デートは週に1~2回で1~2時間している。



私の大学が終わってから秋庭さんの仕事までの短い時間だけだ。





今まで買い物をしたりウィンドウショッピングしたり、映画を見たりカフェでお茶をしたり…と普通のデートをしている。







デートの時、秋庭さんは基本的に私にはお金を払わせてくれない…。




私もバイトをしてるんだし…と思って抗議したら、『じゃあ細かいのある?財布の形変わるの嫌で小銭は持たないんだよ』と言って、小銭を出させてくれたことがある…




その時が私がデートの時にお金を払った最初で最後で、金額は…





26円!!!




これ、払ったっていうの!?




カフェでお茶して、会計2026円の26円を出しただけで払ったって言えるのか…



あれ以来、秋庭さんはほとんど全部カードで支払うようになっちゃって…あれから一度も私は支払いをさせてもらったことがない…。








しかも秋庭さんの所作がとてもスマートで紳士すぎて…





レディーファーストは当たり前で、店に入る時は必ずドアを開けてくれるし、買い物をした後はさりげなく荷物を全部持ってくれる。





映画を見に行った時は私がトイレに行っている間にチケットを買っておいてくれたし、夕食をちょっといいレストランで食べたときは料理に合わせてワインを選んでくれたし、いつの間にかお会計も済んでいる。







私が服を選ぶときは真剣に付き合ってくれるし、何軒も回ることになっちゃっても嫌な顔一つせずに…むしろ楽しそうに一緒に服を選んでくれる…。






カフェに入って、私がパフェにするかケーキにするか迷っていると『どっちも頼め。食べれなかったら俺が食べる』って言って、どっちも注文してくれる。







あ、この前、デート中に外人さんに道聞かれたんだけど、秋庭さん英語ペラペラだった…。





仕事柄、秋庭さんは携帯を二台持ちしてるけど、デート中は緊急の連絡以外では一切携帯に触らないし…。







デートの時の待ち合わせ場所に秋庭さんは絶対に先に来てる…。





一回、秋庭さんは何分前から来てるんだろうって思って、30分前に待ち合わせ場所に行ったことがある。




そしたら2~3分後には秋庭さんが来て『悪い、待たせたな』って申し訳なさそうに言うし…





あなたはいつも待ち合わせ時間の27分前に来てるんですか!?






待たせたな…って、全然待ってないわ!!!



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