夜蝶


始業式が始まるので体育館へ美菜と移動



一応、移動するときは出席番号順。


私と美菜は、名字が一緒だから私の後ろ。
美菜は、私の小学校からの付き合い。



小学校の頃もこうやって私の後ろに居たなぁって思い出す。



まさか高校でもこうやって後ろに居るとは思わなかったけどね。



小学校と中学の時はそこまで仲は良くなかったけど


高校になってからはそれなりに仲良くなった。




キーンコーンカーンコーン


『うららかな春日和になりました……』


校長先生の長い話が始まった。


さっき、チラッと元カレの話をしたが、私には彼氏がいた。


そもそも彼氏が欲しくて、お互いカレカノ居なかったから付き合おーってなった


最初は、それなりに好きだった。


いや…、好きだと思い込んでいた。
キスをする度、吐きたくなるほど気持ち悪かった。


会うたびに求められて、
もう我慢できなくなって私は言ってしまった。

『今日はそういうことしたくない』




『つまんねぇ女。帰れ。』


彼はそう言った。



あぁ、わたしこの人無理だ。

そう思った。



その他にも問題はいくつかあった。
万引き、窃盗、性癖、とにかくあまりいい人間ではなかった。



でも何よりも
あの時言われたあの言葉を絶対に忘れない。


それから別れる決心がやっとついた。




男の人なんてどうせ体が目的。
ヤれればそれでいいと思ってる。


そう思うようになって男の人を毛嫌いしていった。


遊ばれるくらいならこっちから遊んでやる。


そう思うようになって男遊びが辞められなくなっている。



…いや、ただ現実から逃げたくて考えたくなくて少しでも忘れられるなら…。


そう思ってるかもしれない。


そして、自分の居場所を見つけたいだけなのかもしれない。
 

同情で近づいてくる奴じゃなくて、叱ってくれる人に出逢いたいのかもしれない。



自分がどうしたいのかまだ分からない。


『〜……1学期を元気に過ごしましょう』


校長先生の話が終わったみたいだ。
< 5 / 106 >

この作品をシェア

pagetop