料理男子の恋レシピ

同期会の日

昼休みに社内メッセージが届く。
'今日の同期会、いっしょに行こう。'
差出人は白石くん。
'OK。何時に上がれそう?'
'18時には。エントランスで待ってて。'
'了解'
同期会のメンバーは7人。社内の同期だけじゃなくて、転職した子たちにも声をかけたらしい。
残業しなくていいように、いつも以上に集中して仕事をこなす。

17時30分。
定時ぴったりに終わらせて、PCを切った。
「おつかれさまでした。お先です。」
「おつかれ。」
お手洗いに行き、化粧をなおす。
よしっ!!今日は楽しむぞ!!
うきうきしながらエントランスへ向うけれど。

「西原さん。ちょっといいかしら?」
エレベーターホールで、声をかけられた。
相手は経理の高木さん。
悪い予感しかしない。
「なんでしょうか。人と待ち合わせをしているのですが。」
その言葉に、高木さんの目がいらついたものに変わる。
これ、ヤバそう………

「ここでは、ちょっと。人がいないところにいきましょう?」
はぁ………

つれてこられたのは非常階段。
確かにここなら、人も来ないけど。

「あなた、以前、省吾さんとは関係ないって言ったわよね?」
「言いましたけど。」
「ウソつき。言い寄ったり押し掛けたりしてるそうじゃない!!省吾さんに迷惑だと思わないの?!今日だって、相手は省吾さんなんでしょ?!今、省吾さんは、大口の契約が締結間近で大変なの!!なのにあなたは!!!」

へぇ。そうなんだ。知らなかった。だから、忙しそうにしてたんだ。でも、この人はなんでそんなことまで知ってるんだろう。
ほとんど聞き流しながら、そんなことを考える。

本当のことを言っても、火に油を注ぐようなものなので、相手の言い分が終わるまでとりあえず待つ。
それが、早く終わる最善の方法だということを最近学んだ。

でも、聞き流しているのが気に入らなかったらしい。
「ちょっと、聞いてるの?!」
「聞いてます。前にも言った通り。私は高崎さんとは関係ありません。」
「まだ、そんなうそを!!!」

高木さんが手を振り上げる。
まずいっ。殴られるっ!!
咄嗟に目をつむるけれど。

「加奈子っ!!」
ぱしっという乾いた音と同時にふわりと後ろから抱き寄せられる。

えっ?!

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