【完】そして、それが恋だと知った日。
……改めて言うと緊張する。
どうしよう、やっぱりやめる?
いやいや、ここで言わないと学校で居づらくなる。
でもわざわざ話すような人でもない気がするし。


って、男子なんてみんな一緒か……。
伊澄くん、男子っぽく見えないけど。
一応、男子だもんね。


緊張で髪を握った手を緩めたり強めたりして遊ぶ。
口を開こうと思っても恥ずかしさで寸でのところで噤んでしまう。


伊澄くんも不思議そうにしてるし。
勇気出して、私。


「あ、のさ。」


「うん。」


「ここで会ったこと。
 誰にも言わないでほしい。
 ……恥ずかしいし。」


「あ……うん。」


「まだ、誰にも言ってないよ、ね?」


「ん。」


よかった……。
誰にもバレていないことに胸をなでおろす。
これで心配ごとなくなった。


「……じゃあ。」


「うん。」


お辞儀をして、走って公園を後にした。
公園に入る前より足取りは軽くて。
心もふわふわ軽くなった。


そうだ、今日こそは昨日食べ損ねたシュークリームを食べよう。
私の心みたいにふわふわ生クリーム。
お気に入りのシュークリームを。


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