【完】そして、それが恋だと知った日。
「誘拐とか最近あるし。危険だから。」


確かに今日は塾の時間がいつもより1時間長くて。
今日の朝のニュースでは誘拐犯が逃走中って言ってた。
夜道は危険で危ないから気をつけてねって。
お母さんにも今朝言われて出てきた。


苑田くんがここまで言ってくれているのを断る理由はないし。
伊澄くん以外の人と一緒に帰るのってあんまり乗り気じゃないけど。
心配してくれてるんだし。


「じゃあ、お願いします。」


そう言うとほほえんだ苑田くんは。
行こうか、といって一緒に塾を後にした。


「模試どうだった?」


「今回の少し難しくなってた気がする。」


「俺もそう思う。意地悪だよな問題。」


「数学のあの引っかけ、意地悪だなって思った。」


「分かる。」


あの問題、伊澄くん解けたかな。
結構難しめだったし。
あれ解けてたら、数学かなり上達したって言っていい気がする。
帰ったら聞いてみよう。


「小笠原さんってさ。」


「ん?」


「彗とどうなの?」


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