【完】そして、それが恋だと知った日。

「少し早いクリスマス。その日塾だし。」


「えっ、ありがとう。お金……」


「そんなに高くなかったし。」


「でも悪いよ、ちゃんと払う。」


「レシートないし、値段忘れちゃったから。」


「……じゃあ次は私が払う。」


「そうしよう。」


私たち、歳変わらないし。
中学生だし。
あんまり奢られてばっかりは気が引けるのに。
伊澄くんは私にあまりお金を出させようとしない。


花火大会の電車賃の時もそうだったけど。
やっぱり奢られっぱなしは悪い気がする。


それでも。
嬉しそうな顔見ちゃうと、強引に払うなんて言えなくて。
今度絶対お礼しようって。
心の中で決めた。


「シュークリームでよかったよね?」


「わあ、月屋のシュークリーム!」


さくさくのシュー生地に濃厚な生クリーム。
私のいちばん大好きな月屋のシュークリーム。
ちゃんと覚えててくれたんだあ。


「真子ちゃんにお勧めされて食べてから俺もハマっちゃって。シュークリームは月屋以外の食べなくなった。」


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