【完】そして、それが恋だと知った日。

「もう卒業とか早いよな。」


「俺今もまだ明日学校ある気がしてる。」


卒業式が終わっても卒業した実感はわかなくて。
どこか夢心地で。
別の世界な気がしてくる。


明日もまたみんな学校にきて。
おはようって笑いあって。
昨日見たテレビの話をしたり。
恋バナをしたり。
模試の点数がどうだったとか。
そういう話を、するような。


その日常が、明日もずっと続いていく。
そんな気がして。
だから、実感なんて全然わかなくて。


「小笠原さん?」


「え?」


「泣いて……」


伊澄くんに声を掛けられて気付いた。
私、泣いてる……。


すみれに感化されたからかな。
どうしよう、涙止まんない。


涙を流しているって気付いたからか。
自覚してからはどんどん涙が出てきて。
止まらなかった。


「みんなとバラバラになるの、嫌だよ……。」


思っていたよりもずっとずっと寂しい。


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