【完】そして、それが恋だと知った日。

「私余ったのでいいよ。」


「じゃあ井上さん紅茶で。」


すみれと高橋くんが言い争っている間に。
苑田くんがドリンクを配ってくれる。


「席順どうする?」


「あー、あのふたりは隣に座るだろうから。
 俺らの席決めよう。」


「私端がいい。」


「井上さんが端、その横は彗でいい?」


「うん、いいよ。」


「じゃあその横に俺で、その隣小笠原さんね。」


「は、はい。」


てっきり男女男女で座ると思ってたのに。
高橋くん、すみれ、私、苑田くん、伊澄くん、理香子
の順になった。


また、胸のあたりがもやってする。
自分の中によく分からない感情を抱いたまま。
私たちは、映画の席に座る。


「小笠原さん。」


「は、はい。」


映画の予告が始まって数分経った頃。
苑田くんに声をかけられた。


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