【完】そして、それが恋だと知った日。
「男子ってホントガキだよね。」


「マジで子どもじゃん?」


夏休み開けてから1週間。
徐々に学校生活の感覚を思い出し始めた頃。


まだまだ夏の日差しで。
外は暑いし、学校にクーラーなんて気の利いたものないから。
下敷きで仰いで暑さをしのぐ毎日。


セーラー服が肌に張り付くから。
汗ふきシートが手放せない毎日。


中学2年の夏、空は青くて。
快晴の空に、飛行機雲がラインを引いていた。


「美術の田中さ、加齢臭やばくない?
 うち席まん前だからマジでやばくてさ。」


「うわ、どんまいすぎる。」


「真子は一番後ろだからいいよね~。」


「サボってもバレないよ。」


「うらやま~。」


5限目の美術は移動で。
3階に位置する2年生教室の廊下を真っ直ぐ進んだ突き当たりに。
美術室は存在する。
私は、いつも一緒に行動するすみれと理香子と一緒に。
美術室に向かって歩いていた。


3組の教室の前の廊下、また騒いでるし。
3組の男子は他のクラスの男子より素行が悪くて。
いつも怒られてる声が2組まで聞こえてくる。


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