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何故か振られた
木々が枝を伸ばし、芽吹く蕾が和らぐ頃。
常磐色のシフォンスカートを翻して彼女は去っていった。
付き合い始めてから早3年、彼女との仲は良好だったはずだ。
彼女の誕生日は勿論、記念日やイベントを逃したことはなかった。
渡したプレゼントは全て喜んでくれていた。
ペンダントや、指輪、イヤリングに化粧品、服と靴、鞄。
どれも彼女に似合いそうな物を渡していた。
リサーチもして彼女が欲しがっている物を渡したこともあった。
ラインやメール、電話にもできるだけ早く返事をした。
浮気なんて以ての外、女友達と遊びに行くことも控えた。
いつだって彼女を優先した。
彼女を愛していたし、彼女も僕を愛してくれていた。
突然やってきた最後の時もそうだったのだろう。
僕のあげた空色のスワロフスキーが嵌めてあるネックレス。
一緒に選んだ、襟元の大きなリボンが印象的なサテンのシャツ。
誕生日にプレゼントしたシフォンスカート。
肌の透けたストッキングは自前だろう。
淡い桜色をしたパンプスは2年目のホワイトデーのお返しだった。
柑子色の爪は白磁の格子柄でキラリと光るラインストーンが可愛らしかった。
鞄は見たことのない物だったが優しいクリーム色をしていて、柔らかい笑みを浮かべる彼女に合っていた。
そういえば、髪をハーフアップにしていたサーモンピンクのバレッタを褒めるのを忘れていた。
だから、怒ってしまったのだろうか。
会ってすぐに帰ってしまうなんて。
もし僕の憶測があっているのであれば許してくれるまで謝ろう。
スマホの履歴から数分前にかけた彼女の携帯番号を押した。
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