クールな社長の溺甘プロポーズ
翌朝。
朝6時に目を覚ますと、リビングにはぐったりと頭を抱える大倉さんがいた。
「大丈夫?はい、二日酔いの薬」
「悪い……まさか、あの瓶が酒とは。気づかなかった」
「まぁ確かに、見た目はおしゃれな水のボトルに見えるよね」
よほどお酒に弱いらしい。あの一杯で二日酔いになってしまった彼に、私は苦笑いをしながら薬の箱を手渡した。
「けど、キス魔って本当だったのね」
「昔澤口さんの頬にもキスしたらしくてな……以来トラウマなんだ」
お、お父さんの?
想像してしまい、「ぶっ」と吹き出し笑う。
そりゃあ、お父さんにもからかわれてしまうわけだ。
「いいじゃない。めずらしく素直な大倉さんが見られて嬉しかったし」
ふふ、と笑った私に、大倉さんは照れ臭そうに頭をかいて目を背けた。
いつもは無愛想な顔で隠されてしまう気持ちを、知ることができた。
こうしてまたひとつ、彼の一面を知ることができて嬉しい。
少しずつ、少しずつ、もっと近くであなたを知りたいから。
「これから、たまには一緒に飲もうね」
「……年に一回くらいならな」
笑った私に彼は渋々頷くと、朝陽が照らす明るいリビングで、そっと優しいキスをした。
それは愛しさに溢れた、穏やかな朝だった。
end.


