永遠の愛を(番外編も完結)
懐かしいかつての我が家に足を踏み入れた。

もう何年も人の住まない住宅はひどく荒れ果てるまではいかないものの、帰省するたびにその姿は老朽化が進んでいた。

どんなに新しい家でも、人の住まない家はすぐにダメになる。

1年に一、二度の帰省では充分な管理も出来ていないのが現状で、いつまでもこのままにしておけない事も頭の中では分かってはいる。

だけど、まだ心の決心がつかないでいた。

風通しをするために開け放したかつての居間だった窓の桟に手をつきながら、今は何もない室内を振り返った。

何もなく迎えてくれる人が居なくなった家でも、私にとっては 唯一の“ 帰れる場所 ” 。

しばらくの間ただ静かな時間を過ごした私は、帰りの電車の時刻をもう一度確認して家を出た。

「こんにちは」

声を掛けながら店内に入ると奥から店主が顔を覗かせた。
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