ぎゅっと、隣で……　
日曜の昼、たまたま家に居た優一に、地区役員の佐々木さんが神社のお祭りに参加して欲しいと、案内用紙を持って来た。

神社の秋祭りは、三年に一回の年番で各地区が交代で行っている。

今年は、優一の家の地区が年番らしい。



「優一君も、長男だし出てもらわんとなぁ」


　佐々木の言葉に、優一は快く引き受けた。



「俺も出ていいですか？」

　和希が、いつのまにか後ろに立っていた。


「ああ、勿論。じゃあ、二人参加でなぁ！」

　佐々木さんは、申込み用紙に名前を記入すると、嬉しそうに帰って行った。



　和希は、専門学校を出た後、地元の建築事務所で設計士として働いていた。

　今思えば、南朋の家が建てられた時、やたらに家の中を気にしていたのも、建物に興味があったのだと改めて思う。


　祭りは、一か月程前から準備が行われ、優一と和希は煙火部で花火を作る準備の担当だった。

　この神社の祭りは、大三国が設置され火の子の中をきおう、まさに男祭りだ。




　優一も幼い頃から、この祭りが大好きで参加出来事を楽しみにしていた。

　本当なら、仕事が忙しく、祭などに出る余裕は無いのだが、なんだか息詰まる気分をどこかで晴らしたかった。



< 20 / 113 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop