ぎゅっと、隣で…… 
「南朋先生! お婆ちゃん達来たよ」

 結奈が窓に駆け寄ると、数メートル先の田んぼ道を、小さな影が二つ並んで歩いていのが見える。



 二人の姿が段々と近づいてきて玄関が開いた。



「こんにちは、南朋ちゃん、草餅作ったでぇ、持ってきたよ」

 優一の婆ちゃんだ。



「南朋、これ……」

 南朋のお婆ちゃんがタッパーを置いた。


 二人が入って来た玄関の壁には、綺麗な海辺でウエディングドレスを着た南朋とタキシード姿の優一の横に、綺麗なレイを首に掛け派手なムームードレスを着た婆ちゃん達の姿が映った写真が飾られている。


 南朋はお婆ちゃんの持って来たタッパーの蓋を開けた。

 中には南朋の好物のロールキャベツが入っていた。

 南朋の母が作った物だと分かる。

 週に二、三回来る婆ちゃんに持たせたのだろう…… 


 でも、南朋は母が苦手で、結婚して家を出てから殆ど実家には顔を出していない。


 入口の前に給食センターからのトラックが止まり、給食が運ばれてきた。


 学校と同じ昼のチャイムが鳴る。


「さあ、給食の準備にしよう!」

 優一が生徒達に声を掛けた。


 学校での生活を基準に子供達一人一人のペースに合わせ過ごしている。

 給食を食べるのも、本校に戻った時、スムーズに生活を送れるためでもある。
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