きみだけに、この歌を歌うよ
「ちょっと九条くん!なんで勝手に決めちゃうの!?愁がいるんだよ?気まずいじゃんかっ」
その帰り道。
桜並木の道を歩く九条くんの後ろ姿を見つけたから、走っていって横顔を睨みつけた。
「え?あぁ、ごめんごめん。いや、その愁って人って歌うまいんだろ?ちょっと聞いてみたいなって思ったんだよ」
「まぁたしかに、愁は歌上手だけどさぁ……」
だからって、私の意見は無視して勝手に決めるってどうなの?
「私はぜったいぜったいぜーったいに行かないからね!」