きみだけに、この歌を歌うよ




「あっ!それならね、九条くんのとびこえろ!がまた聴きたいなぁっ!ねぇ、歌ってよ~」

「えぇ~……。だってまた、泣くんじゃねぇの?」

「もう泣きませんってば!」



愁と杏里ちゃんがいるし。

私が泣いたりなんかすれば、杏里ちゃんがニヤリと笑う姿が目に浮かぶ。



愁にフラレて辛い?

ざまあみろ。



杏里ちゃんはそんなことを思いながら、私を笑うんだ。

そんなのって嫌だ。

余計に惨めだ。


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