きみだけに、この歌を歌うよ
「ふぅん」
思っていたよりも、返ってきた反応はうすかった。
なんだそれ?
あっさりしすぎじゃないか?
なんだ、自分から聞いてきたくせに…。
ふぅん、ってそれだけか。
九条くんは黒いひょうたん型のケースからギターを取りだして、チューニングをはじめた。
……はぁ。
相手はクールでそっけない九条くんだ。
優しい言葉なんかかけてくれるわけがないか。
親身になって話しを聞いてくれるんじゃないかと、一瞬でも思ってしまった私がバカだった。