君はヴィラン ―冷血男子は結婚に懐疑的―
津久根山神社で
「……なんか、もう、放っておいていいんじゃないかという気がしてきた……」

 一旦KISTへ戻り、めずらしく全員でテーブルを囲むと、礼門が言った。

「投げやりになっちゃダメ」

 素子もそう言いながらも、顔には疲労の色が浮かんでいた。

「とはいっても、再度魔獣化されても困りますからね……」

 そう言いながら蘇芳がちらりと征治を見た。

「代ヶ根財団側へ直接交渉するチャンネルも無くはないですが……」

 対立関係にあるとはいえ、全くの没交渉というわけでは無い。話をする為の窓口は双方にはあった。

「はぐらかされて終わりか、時間稼ぎにじらされるだけじゃないかなー、せめて向こうの目的がわかればいいんだけどー」

 礼門がぼやく。

「あ、あのっ」

 由真が手を上げた。

「……ちょっと、私に時間もらっても、いいかな」

 全員が由真に注目した。
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