恋し、挑みし、闘へ乙女
紅子と國光の会話を聞いていたミミは目を丸くする。

「何ですか、そのハードボイルドな会話は! お二方とも、本当に還暦を迎えられているのですか?」

紅子が鋭い視線でミミを見る。

「年は関係ございません! 私どもは綾鷹様より乙女様のことを『くれぐれも頼む』と申しつかりました。使命を全うするためなら手段など選んでおられません!」

だから勝手に乙女の携帯に追跡アプリを入れたというのだろうか?

スパイまがいの行動に、ミミは「流石、梅大路に仕える人たちですね」と感心するが、お嬢様がこれを聞いたら……きっと烈火の如く怒るだろうと苦笑する。

「國光さん、至急、国家親衛隊サイバー犯罪課の上ノ条様に連絡して下さい。隠密にですよ」
「承知致しました」

國光は素早く行動を開始する。

「ミミ、貴女は“茶房鼓”に行き、もう一度詳しく話を聞いてきて下さい! 新たな事実が分かるかもしれません。私は糸子様にお会いして参ります」

紅子とミミも動き出す。



その頃、乙女はそんな騒動が起こっているとも知らず、スヤスヤと夢の中にいた。だが、そのロケーションは到底公爵婦人になろうとする者がいる場所ではなかった。
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